『オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史』を読んだ

オスマン帝国の通史はこれまで読んだことなくて、ちょうどいいやつが出てたのでウィッシュリストに置いていたやつを読んだ。

歴史を物語として流れで読むのが好きだ。その点でこの本がよかったと思ったのが2点。
まずはオスマン帝国全体、さすがに600年分とあってなかなかのボリュームだが、全体の流れを意識して書かれているのがすごくよかった。全体を大きく4つの時代に分けて、個々の叙述にはスルタンを中心に置いて人となり・周囲の関係を含めて活動を描きつつ、それがどこに位置づけられるのかと見失わないので、長いながらも途中で迷子にならずに読めた。1日で読めない本だとこの辺よく困るのでうれしい。
また、中世ヨーロッパ史によく出てくる隣国で気になっていたオスマン帝国の歴史を、西欧の流れを意識しつつ読めたのがすごくおもしろかった。自分は塩野七生さんの著作が昔から好きで、そこからの流れで古代から中世あたりのヨーロッパ史をよく読むので、あああの国あの人だと、随所で楽しみ要素が多かった。認知している範囲が時間・地理方向に広がった感じ。
コンスタンティノープルの陥落 (新潮文庫)

コンスタンティノープルの陥落 (新潮文庫)

こういう本は途中の資料、とくに地図をよく見返したくなるので、物理本で読む。固有名詞はなかなか頭に入らないし、地名と場所は流れを理解するにはすごく重要だし。あとは周囲の地理と情勢を知りたくなることが多いんだけど、今回も山川のちょっと詳説世界史研究がめっちゃ役に立った。隣国の様子だったり、ちらっと出てきた国の成り立ちを見るだったり。こっちは持ち歩くの大変だから電子版がほしいな。
詳説世界史研究

詳説世界史研究

  • 発売日: 2017/12/03
  • メディア: 単行本